毎月7日は?
『月刊詩とメルヘン』(サンリオ)の発売日。『怪傑アンパンマン』はこの年で完結。第16回から第17回まで掲載された。
毎月20日は?
『月刊いちごえほん』(サンリオ)の発売日。漫画の『あんぱんまん』はこの年からスタート。第7回まで掲載され、次年度へ続く。
『怪傑アンパンマン』が完結!
1976年(昭和51年)4月7日、『月刊詩とメルヘン〔5月号〕』(サンリオ)が発売。1年半に渡る連載はここでいったん最終回を迎える。殺人未遂の疑いで逮捕されたアンパンマンが、ファンの差し入れに隠されていた道具を使って脱獄したところでペンを置いた。
気分一新
気が付いたら3年目を迎えた『月刊詩とメルヘン』。編集長であるやなせ先生は、ここで初心に戻ろうと考え、来月は〝第二次創刊号〟として発売することにした。それは前々から気になっていた『怪傑アンパンマン』の連載に区切りをつけるタイミングでもあった。
幻の続篇?
回表示は「17」である。「最終回」としなかったのは、当時はまだ〝休載〟という扱いだったということだろうか? やなせ先生は、とりあえず第一部終了で、第二部冒険篇も、構想を改めてとりかかりたいと読者に挨拶をしている。
しかし、その一方で、やっと区切りがついて、ほっとしたとのコメントも。のちの解説などを読むと、続篇についてはあまり積極的ではなかったと思われる。やなせ先生は、本当の気持ちがどうなのかを、自分でもよわからなかったのかもしれない。
人気で打ち切り?
結局、第二部は描かれなかったが、『アンパンマン』が連載開始時と変わらぬ無名の作品だったたら、無理してでも続けたかもしれない。
『アンパンマンの遺書』(2013年12月17日、岩波書店)を読んでみよう。振り返ると連載を始めた切っ掛けは、以前、『キンダーおはなしえほん〔1973年10月号〕』(フレーベル館)に掲載された『あんぱんまん』が編集部で「NG」を出されたからである。やなせ先生はそれでも『アンパンマン』への思いを断つことができず、自身が編集長を務める『月刊詩とメルヘン』で育てることにしたのだ。
たが、連載終了後のメディア展開を見てみよう。まだ国民的アイドルとまではいかなくても、人気に芽が出始めたのはこの頃ではないだろうか? となれば、もう『月刊詩とメルヘン』でお世話になる必要はない。連載開始された1年半前とは違い、『アンパンマン』というコンテンツを続ける方法はほかにもあるという訳だ。
幻の最終回?
『月刊詩とメルヘン〔1975年(昭和50年)8月号〕』の編集後記には、最終回の構想は大体できているとのこと。しかし、連載が予想以上に続いたため、この時に考えていた結末とは違うものと思われる。
アンパンマン誕生の秘話!
1976年(昭和51年)5月7日、『月刊詩とメルヘン〔6月号〕』(サンリオ)が発売。『アンパンマン雑記帳』が掲載される。先月号まで連載されていた『怪傑アンパンマン』を題材としたエッセー。アンパンマンのモデルとなった人物は、K君とその母親だった。
『あんぱんまんとごりらまん』が掲載!
1976年(昭和51年)5月、フレーベル館の月刊保育絵本が定期購読している全国の幼稚園や保育園などに配布。そのひとつである『キンダーおはなしえほん〔6月号〕』で。
絵本1作目が本屋さんで!
1976年(昭和51年)5月、フレーベル館から『あんぱんまん』が刊行。27cmX21cmのB5判。レーベルは『キンダーおはなしえほん傑作選』。原本は『キンダーおはなしえほん〔1973年(昭和48年)10月号〕』で、当時、フレーベル館の月刊保育絵本を定期購読する幼稚園や保育園に通っていたごく一部の子供たちの手元にしか渡らない〝幻の作品〟だった。
描き直されたカバーイラスト
実は原本となった『キンダーおはなしえほん〔1973年10月号〕』の表紙とは別の絵が使用されている。黄色い空をバックにする構図は同じなのだが。描き直したのは原画紛失のためか?
『おかあさんといっしょ』に登場?
1976年(昭和51年)6月24日、NHK総合。ゲストはやなせ先生。『月刊詩とメルヘン〔同年11月号〕』(サンリオ)で紹介された読者のお便りによると、その中で『アンパンマン』の話もあったとのこと。
『怪傑アンパンマン』がミュージカル化!
1976年(昭和51年)7月20日、『怪傑アンパンマン』が東京六本木のアトリエ・フォンテーヌにて上演開始。原作は『月刊詩とメルヘン』(サンリオ)に連載されていた同名の童話。上演は8月5日でいったん終了するが、8月18日に再開。8月28日まで続く。
『朝日新聞〔1976年(昭和51年)7月14日付夕刊〕』(朝日新聞社)によると、出演は、梅野かつをさん、田中淳一さん、西沢田郎さん、宮島美智子さん、古谷徹さんとのこと。『アンパンマン伝説』(2023年7月、フレーベル館)にはばいきんまん誕生の秘話と共に、貴重な写真が載っている。
あの人気声優も!
気になるのはやはりキャスト。アンパンマンの役は海野かつをさん、ジャムおじさんの役は田中淳一さんが担当した。そして、注目すべきはもう一人の主人公であるヤルセ・ナカスが、あの古谷徹さんだったこと!
古谷さんは『機動戦士ガンダム』のアムロで有名な声優界の大御所。ほかに『巨人の星』の星飛雄馬、『ドラゴンボール』のヤムチャ、『美少女戦士セーラームーン』のタキシード仮面なども。
『おかあさんといっしょ』の再放送
1976年(昭和51年)8月18日、NHK総合。やなせ先生がゲストの回。本放送は同年6月24日。
『月刊いちごえほん』で『あんぱんまん』がスタート!
1976年(昭和51年)8月20日、『月刊いちごえほん〔9月号〕』(サンリオ)が発売。第1回が掲載される。
主要キャラはここから!
しょくぱんまん、カレーパンマン、ばいきんまん、バタコさん、チーズ、おむすびまんはこの連載で生まれた。フケツマンという幻のキャラクターも登場する。
『怪傑アンパンマン』が単行本化!
1977年(昭和52年)12月1日、サンリオ。同社の『月刊詩とメルヘン』で1年半連載されていた童話。連載終了後の『アンパンマン雑記帳』も収録された。